水銀に汚染された魚と生きる−奇病時代における御所浦島民の「生の複雑さ」に関する一考察−

서지정보

· 발행기관 : 동서대학교 일본연구센터
· 수록지 정보 : 차세대 인문사회연구 / 19호 / 183 ~ 207페이지
· 저자명 : 飯島力

초록

本稿は、水俣病が長らく対岸の出来事であった離島の町・御所浦に着目し、そこに住まう人びとにとって水銀に汚染された魚がいかなる存在だったのかを検討するものである。対象となる時代は水俣病が公式確認された1956年5月1日から、御所浦で水俣病患者が初めて認定された1972年前後までの期間である。本稿では、この問いを検討するために、水俣病被害者団体やその支援組織などが発行した御所浦島民の聞き書きを中心に用いた。聞き書きを読み解くにあたり、先住民研究者のイヴ・タックの呼びかけに応じる形で、水俣病の被害に焦点化しがちであった先行研究を批判的に捉え直し、そのうえで御所浦島民の「生の複雑さ」に光をあてることを試みた。その結果、汚染魚は、この時代の御所浦社会との具体的な関係から(町行政・漁協との関わり、社会的立場、魚食の頻度、魚食への親しみ等)、そのありようが重層的に規定されていたことが明らかになった。その過程では、島民が逡巡しながら魚を食べる様子や、漁業の問題と社会的立場が絡み合うことで水俣病についての沈黙や苦悩が生み出されていることが示された。そこではまた、対岸で水俣病が発生してしまった状況に直面しながら、それでも不知火海やその魚と生きようとしてきた島民の姿が浮き上がってきた。本稿では、このような人びとの経験にこそ、「生の複雑さ」を見いだせると結論づけた。

참고자료

· 없음