柳田国男と『海上の道』―「海南小記の旅」から100年、いま日韓でできること―

서지정보

· 발행기관 : 비교민속학회
· 수록지 정보 : 비교민속학 / 52호 / 11 ~ 21페이지
· 저자명 : 梁川英俊

초록

柳田国男（やなぎた　くにお）は子供の頃から海が好きでした。最初に海を見ようと思ったのは十歳の頃で、それ以来出世して方々の海を見て歩くのが彼の夢になったそうです。24歳のとき、愛知県伊良湖岬に滞在中の柳田は、偶然浜辺に打ち寄せられた椰子の実を見つけます。4年後に発表した「伊勢の海」という一文のなかで、彼はそのときの印象を、「坐（そぞろ）に南の島の恋しくなりぬ」と書いています。広く愛誦される島崎藤村（しまざき　とうそん）の詩が、この逸話に材を取ったものであることは申し上げるまでもないでしょう。その柳田が実際に南島旅行に出かけるのは、1920年の暮れのことです。1920年12月13日に東京を出発して、九州の東海岸を通過しながら、沖縄本島を経て、宮古․八重山へと向かい、帰路は奄美大島を経由して、翌1921年2月15日にようやく鹿児島にたどり着きます。ほぼ2ヶ月に及ぶ大旅行でした。東京に帰った柳田は、当時論説委員をしていた東京朝日新聞に、「海南小記」と題された紀行文を32回にわたって連載します。この文章は1925年に、他の沖縄関係の論稿と合わせて『海南小記』という書物として出版されました。俗に「海南小記の旅」と呼ばれるこの南島旅行からほぼ40年後、柳田国男の最晩年の作品として現れたのが『海上の道』でした。そこには、椰子の実の逸話はもちろん、この南島旅行のなかで出会った宝貝の話など、生涯にわたる柳田の海への憧憬が、ふんだんに盛り込まれています。『海上の道』の中心をなすのは「日本人はどこから来たのか」という問いです。柳田は、日本人の先祖は、宝貝の魅力に惹かれて中国南部から南島に漂着したとします。彼らは稲の種をたずさえていました。そして稲の栽培に適した土地を求めて、島伝いに南から北へと進み、やがて日本本土へと達したというのが、柳田の仮説です。東方浄土観や稲霊の再生を祈る信仰とその祭りなど、今日本土と沖縄の間に見られるさまざまな信仰や慣習の一致は、われわれの先祖たちの海の旅を跡づけるものなのです。『海上の道』に収められた論考は、柳田の最晩年の10年ほどの間に書かれたものです。彼がその生涯の最後に向かい合ったのは、日本民族の起源の問題だったのです。柳田民俗学は、彼自らがそう定義したように「一国民俗学」でした。その意味で、「日本人がどこから来たか」を問うたこの「海上の道」こそは、「一国民俗学」としての柳田の学問が辿り着いたひとつの到達点だったと言っていいでしょう。

참고자료

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