原子力規制法制の現状と課題

서지정보

· 발행기관 : 전남대학교 법학연구소
· 수록지 정보 : 법학논총 / 38권 / 2호 / 265 ~ 280페이지
· 저자명 : 高橋 滋

초록

本稿は、まず、序論として、日本の原子力法体系の沿革と福島原発事故後の環境法体系への組入れとについて解説した。その上で、多岐にわたる観点のなかから、行政組織の改編、安全規制体制の改革、原子力損害賠償法制の改革論議、の順に紹介した。 まず、法体系の変化についてである。福島原発事故以前は、原子力発電所については、基本設計を含め原子力技術に固有な事項を原子炉等規制法が規律し、それ以外の事項については、火力発電所等と共通する事項として電気事業法の規制に委ねることとしていたのを改め、原子炉等規制法が一元的に規律することとなった。そして、原子力発電事業者に対して、事業の計画的な遂行を義務付けていた許可要件を削除し、事業の継続性ㆍ安定性に安全性が優先することを明示した。また、原子炉等規制法の目的規定に、自然災害ㆍテロからの防護、重大事故からの防護を明示した。さらに、新知見、技術の発展を既存の施設の規制にも適用可能とするバックㆍフィット制度を導入したほか、事故の経験を踏まえた新規制基準を策定した。 次に、組織体制については、当初の政府案にあった原子力安全庁、及びその諮問機関として原子力安全調査会の構想を変更し、原子力規制委員会、原子力規制庁が創設された。ただし、委員の構成は、原子力工学、地震学、放射線医学等、関連する自然科学系の専門家に限られており、法律家は加わっていない。このことが、規制に際しての適正手続の保障、被規制者側との適切なリスクコミニュケーションを確保する上で、若干の問題を生じさせている原因であるように思われる。 最後に、原子力損害賠償制度の改革については、完全賠償の原則を確認した上で、現行の無限責任、無過失責任、責任集中の基本的な枠組みを維持することで基本的に合意した。ただし、保険市場のなかで民間の原子力損害賠償保険の額(原子ら力損害賠償補償契約と同額の一事業所当たり1,200億円等)を抜本的に引き上げることは困難であることから、政府の原子力損害賠償補償契約の対象額のみを単独で引き上げることができるか否か等について、現在、議論が行われている。 現在、自民党ㆍ公明党の連立政権は、エネルギーㆍミックスを重視する立場から、原子力を全電源の二割を占めるベースロード電源と位置付け、原子力規制委員会が認めた原子力発電所の再稼働を進める姿勢を示している。既に、福島第一原子力発電所と炉型の異なる西日本の原子力発電所(Pressurized Water Reactor)については、安全対策が済んだものから再稼働が認められてきている。また、福島第一原子力発電所と同型の東日本の原子力発電所(Boiling Water Reactor)についても、東京電力柏崎刈羽発電所6号機、7号機の再稼働が認められた(非法定の原子力安全協定を根拠とする地元同意手続は完了していない)。一定水準の安全対策が施された原子力発電所の再稼働を認めるか否かにつき、行政法学の見地から一定の結論を導き出すことは困難であると考える。他方、福島第一原発事故の経験を踏まえ、個々の原子力発電所に係る決定過程の合理性、適正手続の確保等について、行政法学の見地から、行政過程、司法過程を予断なくチェックしていくことは、わが国の行政法研究者に今後も課された大きな課題である、と報告者は考える

참고자료

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