「音声のメタ言語能力」の構築を目指した教師教育の試み ― 韓国人日本語教師と支援者による意見交換の場から生まれた学び ―

서지정보

· 발행기관 : 한국일어교육학회
· 수록지 정보 : 일본어교육연구 / 62호 / 243 ~ 260페이지
· 저자명 : 천선영

초록

本研究は、韓国の日本語教育現場における音声教育の活性化の一助となるべく、教師教育を文脈に教育内容や支援方法を模索するものである。これまで韓国では、現職の教師が音声について意見交換を行う場が少なかった。そこで、本研究では、音声教育支援の一環として、音声について意見交換を行う場を設けるという教師教育のアプローチを試みた。本稿では、とりわけ、従来の教師教育の文脈では、 それほど取り上げられてこなかった「音声のメタ言語能力」の構築過程を報告する。リサーチクエスチョンは、以下の2点である。 RQ1：「音声のメタ言語能力」は、教師と支援者の間でどのように構築されたか。 RQ2：「音声のメタ言語能力」の構築は、両者の学びにどのような影響を及ぼしたか。 2018年10月から12月にかけて設けた音声教育に関する意見交換用メーリングリストに投稿された53件の内容を質的に分析した。意見交換の内容は、5つの音声項目――(1)短縮語、(2)外来語のリズム、(3)擬声語と擬態語、(4)促音と撥音、(5)複合語のアクセント――を含む。 分析の結果、以下の点が明らかになった。(1)支援者による例示、視覚化、比較という工夫が、教師による音韻特徴の説明を促していた。これらの行動により、教師は「音声のメタ言語能力」を徐々に構築していった。(2)教師はこれらの能力を、教育実践の計画や振り返り、他教科との連携に活用した。(3)一方、「音声のメタ言語能力」が構築されていく中で、音声教育に対する不安を抱えている実態が浮かび上がってきた。学習経験を振り返り、音声教育に関する考え方を共有することで、支援者・教師間で音声教育観が再構築されていった。 本研究から、韓国の日本語教育現場に向けて3点の示唆が得られた。まず、韓国の教師教育フィールドにおいて「音声のメタ言語能力」を構築するためには、意見交換の工夫によって音韻知識を身につける環境が必要であることを提案した。次に、日本語の音声をテーマとした、言語系科目・非言語系科目との新たな教育実践の連携の可能性が示された。最後に、音声教育上の悩みや経験等を共有する場を設けることが必要である。

참고자료

· 없음