芥川龍之介の「寒さ」 に関する一考察 －<伝熱作用の法則>を中心として－

서지정보

· 발행기관 : 중앙대학교 일본연구소
· 수록지 정보 : 일본연구 / 29호 / 95 ~ 113페이지
· 저자명 : 이민희

초록

以上、考察したとおり作者と読者との<疎通>に関する問題を扱っている「寒さ」 は日本文学の場に於いて<読者>との共感の形成の要素から文学的な価値を求めようとした1920年代の動き、即ち、文学の概念の転換期という延長線上に置かれている。しかし<伝熱作用の法則>を媒介に物体と物体から男と女、そして作者と読者とへ拡大して行く「寒さ」 は人とは疎通せず、むしろ物体と共感する保吉の奇異なる様子を見せる。これは人間と物体を問わず「焚火」 、「手袋」 、「作者」 等を「より逆上した」 方に認識するところから始まったのであるが、ここで作者と読者は垂直的な上․下の関係に置かれる。それなら「寒さ」 は日本文学の場に於ける文学の概念の転換期という同時代性を確保してはいるものの、両者を垂直的な上․下の関係に捉えているところに於いては限界点をも内包していると云えよう。このようにテキストを作者に帰属せず、時代の産物として扱った時「寒さ」 から読み取れるのは芥川竜之介の横須賀での経験ー今まで「寒さ」 は概ね1916年12月から1919年3月まで海軍機関学校の嘱託教官であった芥川竜之介の経験と見做されていた。ーというよりは寧ろ1920年代日本文学の場に於ける文学の概念の転換期である。日本文学の場に於いてこういう時期を向かえたのは云うまでもなくジャーナリズムの「広大なる新植民地の発見」 に準えながら、文学の大衆化現象を齎した女性読者層の拡大であろう。本論で確認したとおり「寒さ」は講演<日本文藝に於ける形式と内容の関係>と《文藝の内容的な価値論争》で「芸術は表現である」ことを力説した芥川竜之介の文学観が具現されているテキストである。こういう彼の文学観を一言で云えば「文藝の形式と内容は不可分の関係にある」 のだが、彼がいう「文藝の内容」 が<読者>によって規定される性質であることを勘案する時、それは<読者>を想定する文学観に他ならない。「寒さ」の問題意識はこうした芥川竜之介の文学観を示しているかのように<読者>との<疏通>を望んでいるのである。更に本テキストで窺える作者と読者を垂直的な関係に捉える限界点は他の保吉物である「お時儀」 (『女性』1923年10月)でテキストの解釈を<読者>に返す叙述方式が取られたり、「或恋愛小説」(『婦人倶楽部』1924年5月)でテキストの問題意識を<読者>と共有しようとする姿勢を見せたりする等、コミュニケ―ション行為であるライティングが実践的な様相を帯びることである程度克服している。この点に於いて合わせて十篇の保吉物の中から見た「寒さ」 は文学観の具現の場-「保吉の手帳から」 と「少年」 -から実践の場-「お時儀」 と「或恋愛小説」-への架橋の役割を果たしていると云えよう。

참고자료

· 없음