「偸盗」試論 -自意識と無意識 -

서지정보

· 발행기관 : 한국일본어문학회
· 수록지 정보 : 日本語文學 / 1권 / 83호 / 259 ~ 279페이지
· 저자명 : Hayasawa Masato

초록

芥川龍之介の初期小説は、語り手が「作者」のように登場し、自らの「観念の世界」で展開される物語に、自ら分析・批評を加えながら物語る、というスタイルになっている事が多い。具体的には、「羅生門」や「鼻」、「芋粥」などの今昔物などがそれであるが、これらは語り手による「説明（telling）」に比重を置いた小説形式ともいえるだろう。 また、このように語り手の存在を前景化させながら、芥川文学では語り手の観念の中で、複数の人間の「嘘」が重層化される傾向もある。そこには語り手の人間の言葉や認識に対する懐疑主義の問題――人間の嘘に対する自意識過剰の問題も内包されている。例えば「ひよつとこ」という小説で、語り手は主人公の話を引用しているが、その主人公は「嘘つき」であり、さらにその主人公（嘘つき）の話に登場してくる人達もまた「嘘つき」であり、さらにその人達の話に出てくる人達も「嘘つき」である――という具合に、語り手の説明のなかで「嘘つき」の話が重層化していく構造になっている。ここには人間の話に対する懐疑主義的な姿勢も認められる。 もっとも、こうした芥川の初期小説における「懐疑主義」や「自意識過剰」、「嘘の重層構造」の問題は、その後「偸盗」（初出「中央公論」大正６年４月、７月）において、変容の身振りをみせる。というのも、「偸盗」は芥川のそれまでの初期小説とは異なり、語り手による「説明（telling）」式の物語スタイルではなく、作中人物による「描写（showing）」式の物語スタイルで構成されており、主人公が様々な者たち（沙金、猪熊の爺など）の「嘘」や、自分自身の「嘘」に取り囲まれて迷い、過剰な自意識（「嘘の重層化」-状況）を抱え込むという話になっているからである。――いわば、「ひよつとこ」のような自意識過剰や懐疑主義、嘘の問題を「偸盗」では、語り手ではなく、作中人物が担った物語になっているのであり、身体性を備えた作中人物に、問題の解決が託された物語となっているのである。 ただ、「偸盗」は主人公が「無意識」的な直観を頼りにして、そうした自意識過剰（嘘の重層化-状況）の問題を突破していくという展開になっているが、はたして問題は解決されたのかどうかという肝心なポイントは、曖昧なまま終わってしまっている。 そこに本作が失敗作とされる理由もあったのではないか。

참고자료

· 없음