『華厳経問答』のテキスト研究

서지정보

· 발행기관 : 한국사상사학회
· 수록지 정보 : 한국사상사학 / 56호 / 305 ~ 363페이지
· 저자명 : 道津綾乃

초록

『華厳経問答』はテキストクリティークが必要であることを提示するのが本稿の目的である。　『華厳経問答』に関する研究は、いずれも『大正新修大蔵経』45巻所収の『華厳経問答』(以下、大正蔵本『問答』)に依拠している。底本は「平安末期寫小野玄妙氏蔵本」とあるが所在未詳であり、大正蔵本『問答』の翻刻が的確かどうかを底本に戻って確認することは、現在誰もできない状態にある。また、写しである以上、流伝の過程で誤写や改変は少なからず起こる現象であるが、それらが妥当であるのか誤りととらえるべきかを吟味することもできない。筆者は、現在依拠しているテキストの精査が不十分であることが、『華厳経問答』研究の問題点であり、現存する写本や後世の人々の引用文を比較し、より精度の高いテキストを想定して、『華厳経問答』の更なる検討を行うべきと考えている。この作業に適した対象の1つとして、称名寺所蔵『華厳経問答』(以下、称名寺本『問答』)を取り上げるのである。 称名寺本『問答』は1295年末～96年前半の間に本文が書写され、踊り字の用法に特徴がある。　『華厳経問答』は、大正蔵本(小野玄妙氏蔵本)、元禄14年刊本、称名寺所蔵本に加え、このたび新たに成簣堂文庫所蔵『華厳経問答』写本(以下、成簣堂本『問答』)を発見した。称名寺本『問答』と成簣堂本『問答』には踊り字が使用されており、用法に共通性が認められる。ただし、称名寺本『問答』と成簣堂本『問答』の底本は同じではなく、称名寺本『問答』に対して、他の３本は異本であると言わざるを得ない。しかし、両写本には、踊り字の用法に共通のルールがあることから、底本は案外近いところで一致する可能性があるのではないかと予測する。踊り字は、楊錫全氏によれば、「重文用法肇端于上古、中経秦漢、又歴中古、在出土文献尤其敦煌及簡帛文献中大量存在。」(原文簡体字)とあり、非常に古くから中国で用いられていたことで知られる。このことは、新羅で書かれた『華厳経問答』が日本に直接流入したのかどうかを考察する必要を示唆しているのかもしれない。 なお、日本中世の訓点を持つ称名寺本『問答』は、文章解釈の面で参照する必要がある。これからの同書の研究にはテキストクリティークが必要である。また、新出の両写本だけでなく、福士慈稔氏がまとめられた、日本の僧侶が引用している『華厳経問答』との比較も重要である。これらは今後の課題とする。

참고자료

· 없음